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演劇縦塗横抹

悲劇、歌劇、人形劇・・・
演劇と言っても多岐に渡る。
今度の土曜日(7月5日)に延期されたことをご案内したが、キャンドルナイト2008では、朗読劇の演出をお任せいただいている。
朗読は実は立派な劇なのである。

朗読の上手な人は世の中にいくらもいて、先生の代わりに教科書を読まされるなど、彼等は子供の頃から読むことが得意だったに違いない。
一行でも二行でも先の語句を目で追いながら、一語一句を明瞭に発するのが、朗読のコツであることも理解しているはずだ。
責任感が強く、国語の成績の良い、学級委員を任されるような文学少女タイプが多いように思う。
つまり、朗読には教養を要するのである。
それに強い自己顕示欲が加われば、人はアナウンサーを目指すのかもしれない。

俳優の朗読は、即ち朗読劇とならなければならないので、正確に読むことが最優先のアナウンサーの朗読とは一線を画する。
例えば、悲しい事件だからと、アナウンサーが泣きながら原稿を読んでは、ジャーナリストとして失格だが、俳優に感情の制限はない。

ところで、教養あるものは感情を露にすることが往々にして苦手だ。かといって現在の日本のように、無教養な者の職業として『役者』が認知されるのも迷惑である。
羞恥心を克服してこそ、深みのある演技に結実するのであり、鼻から羞恥心に欠ける者の仕出し芝居を、大衆が演劇と見なしてしまう現在の日本の感性は憂うべきである。

本来、俳優は存在そのものが芸術でなければならない。

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by site-tate-tale | 2008-06-29 13:26

夢現

酒を酌まずの就寝は、睡眠が浅いのか、夢と現の境が学生宿の壁の如く薄くなる。

亡き人たちと普通に暮らす子供時分の夢の、明るい陽射しの喜びで目覚めたのに、暁闇にはほど遠く、残念なような懐かしいような心持ちで、再び枕を返したのは昨夜のこと。

夢の壁を容易にすり抜けると、直に白い洋館に孤独に暮らす物語が始まった。
レースのカーテンが風に踊る長い廊下を一人で歩いている。
自分の咳で物語が終わると、初夏の朝は充分に明るく、今日は何曜日だろうと現実に引き戻される。

銀行の用を思い出す日は、再び瞼を閉じる。
映画でも観るかと思いつく日は、軽やかに起床する。
つまり、いつまでも夢を見続けていたいのである。

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by site-tate-tale | 2008-06-27 14:31

遠吠え

子供だった昭和の時代は、日が傾ぎ西の空に明星が瞬く頃、どこからか犬の遠吠えが聞こえるのが習いで、椋鳩十さんの児童書やシートン動物記で読んだように、やはり、犬の祖先は狼だったんだと納得したものである。

夕陽に染まる桜島がその筋肉隆々たる岩肌を露にする頃、ピーヒョロヒョロと塒を目指すトビの甲高い啼き声、指宿へ下る鹿児島本線のリズミカルな車音、奄美大島へ出航するフェリーの悲し気な嗎のような汽笛は耳にするが、中に犬の遠吠えが混じることはない。

犬を外で飼う昭和の習慣が廃れた証だろうか。
 
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by site-tate-tale | 2008-06-26 19:51

追憶のJuin

2005年から2006年にかけて滞在したパリ15区のアパルトマンは、オスマン様式に準じて約100年前に建てられた7階建で、我が家はその3階の一隅であった。
上階の若夫婦の部屋からは、生まれたばかりの赤ん坊の泣き声がよく聞こえたが、それだけではなく、彼等夫婦が室内のどこにいるのかも具にわかった。天井に靴音が響くからである。

お隣は老婦人がゴールデンレトリバーと暮らしていたが、パリの人々の犬に対する躾は見事で、このゴールデンレトリバーは、毎朝8時、散歩に行く前に景気付けのようにouaouaと一吠えする以外、一日中その気配を殺し、窓に飾る花の水遣りを日課とする老婦人と、密やかに暮らしていた。

防音という意味では、安普請の日本のワンルームマンション程度のパリのアパルトマンであったが、生活音をうるさいと思ったことはなく、私自身も老世帯のように静かに暮らしていたと振り返る。

窓を開け放ち、パスティス(フランスの酒)をあおりながら、なかなか暮れない空に飛び交うつばめを、ヘミングウェイの心持ちで眺めるのを日課としたのは、パリの6月であった。

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by site-tate-tale | 2008-06-26 13:12

雨の日の猫・愛煙家のために

今日は、Site Tate Taleをご覧下さい。
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by site-tate-tale | 2008-06-25 19:23

開聞岳・たのかんあさ・紫陽花

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(上)鹿児島県の薩摩半島南部の温泉町として有名な指宿市は、NHKの大河ドラマで一躍有名になった『篤姫』が幼少期を過ごした、海に囲まれた温暖な街である。
その指宿市の西部をえぐるのが池田湖で、その山容から薩摩富士の異名もある開聞岳はその南、つまり薩摩半島最南端、鹿児島湾入り口に門柱の如くそびえている。

(中)池田湖畔の斜面は棚田として活用されている。
昨日、Site Tate Tale 2に掲載した動画と同じ、『新永吉の棚田』である。
右下の石像は田の神様。鹿児島弁では、たのかんさあと言う。

(下)そして、視点はミクロの世界へ・・・

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by site-tate-tale | 2008-06-24 12:41

後期若年者

抜群だった記憶力の、日に日に鈍磨するを自覚しているが、何、悪いことばかりではない。
脱ぎ捨てた上着のポケットからは、どこでいただいたのか、子供のように菓子が出てくるし、過日は8枚の1000円札が丸まっていた。

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by site-tate-tale | 2008-06-23 20:08

棚田と池田湖と開聞岳・・・指宿の風景

Site Tate Tale 2で動画をご覧下さい。

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by site-tate-tale | 2008-06-23 15:52

鹿児島交響楽団第70回定期演奏会

アマチュアなのだからもっと世間に膾炙する曲をと、常々、辛辣に、しかしながら愛の鞭のつもりで、その選曲に意見を述べてきた鹿児島交響楽団の、記念すべき第70回定期演奏会が、鹿児島県文化センター(宝山ホール)で行われたのは、小糠雨の昼下がりだった。

プログラムは以下の通りである。

ジョン・ウイリアムズ作曲
映画『シンドラーのリスト』より 3つの作品(アカデミー作曲賞・グラミー賞受賞)

伊福部昭作曲
マリンバのための『ラウダ・コンチェルタータ』

グスタフ・マーラー作曲
交響曲第1番ニ長調『巨人』

指揮・ヴァイオリン:後藤龍伸
マリンバ:山ヶ城陽子

マーラーファンの私には嬉しいプログラムだが、音楽に興味の薄い方々にお聴かせしても楽しいコンサートになるか演奏前は疑問だったが、それは杞憂であった。

アカデミー賞作曲賞の常連で、映画音楽界の巨匠ジョン・ウイリアムズさんの、親しみやすくも重厚な『シンドラーのリスト』、山ヶ城陽子さんの激しいマリンバが印象的な『ラウダ・コンチェルタータ』、その山ヶ城さんと後藤龍伸さんのヴァイオリンでのジャジーな『鹿児島おはら節』(アンコール曲)と、丁寧に作り込んだ演奏が続く。

そして、休憩の後は、楽器別に見せ場があるが、その分ごまかしの効かないマーラーである。

ティンパニの荘厳な音で始まる3楽章、コントラバスのソロは少しドキドキした。

鹿児島交響楽団のヴァイオリンのレベルの高いことは知っているので、第4楽章などの美しい音色に驚きはなかった。

パーカッションが目立つ楽曲を聴いたことがなかったこともあり、パーカッション・チームの精魂込めた演奏にも脱帽だった。

そして、何より良かったのは木管楽器だ。
特に第3楽章のクラリネットは秀逸で、ブラボーと叫びたい欲求を抑えたほどである。

アマチュアだし、世界的な演奏家とは楽器の値段も桁違いだ。それ故、音色にも大差があるのだが、今日の鹿児島交響楽団は、楽団員の『気』が集中し、音色の差などものともしない素晴らしい演奏だった。
指揮者のセンスがぴか一だったことも、特筆しておこう。

マーラーに高揚した私は、終演後、会場で会った友人たちとイタリア料理の店に繰り出した。
『ルネッサ〜ンス』と乾杯したいところを店の雰囲気から自重したが、素敵な音楽の後の冷えた白ワインは格別だった。

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by site-tate-tale | 2008-06-23 06:08

後期高齢者

 雲は低く垂れ込め、しかし、雨は怺えている。神話のアトラースもこんな空では重かろうと、同情したくなるような曇天の昨朝、伯父の菩提寺を訪ねた。三回忌である。

 寺は階段が多い。足腰の衰えを隠せない高齢の親戚たちが、ゆっくりゆっくり昇降するのを助ける彼等の孫たち。

 「ようこそ、お参りいただきました」
 時間通りに読経が始まる。ぞろぞろと焼香の後、場が静まると、伯父の一人が居眠りを始めた。
 最前列に腰掛ける喪主である伯母も、身体が揺らぎ出す。
 高いほお骨に、張ったえら、頭頂の薄い坊さんは50代だろうか。参列者に向き直り、説教に移る。
 「・・・自分ののろまさ加減を短所と思っていたら、あなたは大らかな人だと言われた。つまり、見方を変えれば、短所も長所になるのです・・・」
 どこかで聞いた話しだ。ああ、昨年の一周忌の説教と同じだと思い出す。

 途中、伯父は目覚めたが、伯母は身体が傾いたままである。それに気付いた伯父は、自分もさっきまで寝ていたくせに、近くにいる者に、伯母を起こせと身振りで示す。

 坊さんはそのやり取りに、
「どうぞそのままで」
と、慣れた顔で説教を続ける。

 クーラーの風に、壁に貼られた、『壱拾萬圓』、『弐拾萬圓』と檀家からのお布施の額が書かれた紙が揺れるのをぼんやり眺めながら、温泉町で医者をする友人の話しが浮かび、笑いを堪えた。

患者:「先生、私ももう末期高齢者ですから。」
医者:「それを言うなら、後期高齢者でしょ。」
患者:「ああ、そうじゃった、そうじゃった。」

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by site-tate-tale | 2008-06-22 21:56


♪サイト・テイト


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竪山 博之
(たてやま ひろゆき)
演 出 家

舞台演出・演技指導・朗読講座の他、芸術やフランス文化に関する講演や執筆を生業としております。

お気軽にお問い合わせ下さい。
hiroyuki_tateyama
@me.com

尚、Site Tateは、テイトなる男を主人公とする、虚実織り交ぜた物語です。

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