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春に三日の・・・

春に三日の晴れは無しという通りで、先週来、陽が覗かない。
変わらずに雲は景色に色彩を与えないが、朝の雨は上がり、熱発で学校を休んだ小学生が一眠りしている間に恢復したように、午後になって明るさが戻ってきた。
派手に啼くのはひよどりで、何かを見つけたとんびは急降下する。
久し振りに見かける跛の猫が、乾きつつあるアスファルトの水たまりを避けながら道路を横切る。
自転車の子供も復活した。

「卒業式には、もう咲いていましたから今年の桜は早かったですね」
「この雨で、桜は散ったんじゃないですか」
そんな会話を苧環の如く繰り返す、春の午後である。
明日から卯月。

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by site-tate-tale | 2009-03-31 14:56

花盛り

ブログは4年、mixiやGREEは5年になる。
花曇りの昨今だが、この季節、東京でパリで、そして鹿児島で、桜の話題を避けたことはない。
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夏目漱石の『君帰らず 何処の花を見にいたか』という句を紹介するような、物悲しい春や、アイデンティティを求め桜を探す異国の日もあった。
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新宿御苑、靖国神社、代々木公園、馬事公苑と、東京の桜は幽玄な老木が多く、その名状し難い光景は、記憶の庭の桜の園に昇華され、死生観と共に蘇る。
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居を構えた15区のアンドレ・シトロエン公園、ノートルダム寺院、パリ郊外南部のソー公園、そして、ヴェルサイユのモデルとなったヴォ・ル・ヴィコント城と、ただ桜を見たくて彷徨ったのはパリでの春だ。
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薩摩に生まれた私には、このまま厳寒の王国に幽閉されるのではと案じられた異境の冬。寒さに耐えて耐えて耐え抜いた植物が、復活祭を目標に一斉に芽吹く。それ故、パリの桜は開花と同時に葉も開いてしまう。
桜に限らずパリの植物は、夭折の天才のように生き急ぐのである。
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そして、生温い空気の中、ぼんやりと時を送りがちな鹿児島は、例えばこの季節、猫の額ほどの我が庭でも、山吹やツツジが咲き誇り、通年花に囲まれる。
しかし、名画の揃うルーヴルでも、モナリザが燦然と輝くように、どの花も桜には敵わない。
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人間到る処に青山有り、そして、青山有る処に桜咲く。

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by site-tate-tale | 2009-03-30 08:23

南々春(指宿の春)

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 あそこから街が見渡せると聞いていた魚見岳の麓に向かい、渺々たる空豆畑の指宿である。
 整然と並ぶ子供の背丈ほどの棚に、濃い緑を光らせて下がる空豆の鞘は、立派なものは20センチほどで、しかし、中には碁石大の豆が2、3粒しか隠れていないのが贅沢だ。
 右に左に空豆畑を従えて進むと、足元から飛び出すのは雲雀で、案内役よろしく奥の畑でこちらを待っている。
 もう、枯れて黒く変色した豆が下がっていたりと、手入れされていない畑もあるので、収穫もそろそろ終わりのようだ。夏に向けてオクラ畑に変わるのも間もない。
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 魚見岳の斜面を背にした、少し高台に校舎を抱える古い小学校は、終業式が終わったばかりで人影はない。ただ五分咲きの桜だけが1枚2枚と花弁を落とし、どこからか迷い込んだ柴犬の遊び相手をしていた。
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 私が歩いているのは、放射冷却か海風か、まだ空気は冷たいが、農家の人々が一休みする頃合いで、そろそろ日差しが本格的になり、クーラーの入った部屋でストーブにあたっているような陽気である。
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 畑に沿って道は入り組み、その奥には牛舎があった。黒い牛たちは陽光にコントラストを強める。目が慣れると、黒く丸い瞳で静かにこちらを見つめていた。
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 鹿児島県本土南端の指宿市は人口4万5千人。我が庵のある鹿児島市に隣接するこの温泉で有名な街が、ブログの舞台となることは、今後も珍しくない。


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by site-tate-tale | 2009-03-27 22:21

地デジ良し

ワールド・ベースボール・クラシック観戦には充分なサイズと画質だと満足している。
先日、購入した地デジ対応テレビのことだ。
これまでも、20年前の大きな受像機が部屋の一角を占拠していたが、颱風で方向が変わったアンテナは用をなさず、どのチャンネルも得意なのは吹雪の映像だった。しかし、それで困ったことはない。

朝から殺人事件に大騒ぎするワイドショー。ニュースは『強きを助け弱きを挫く』偏向報道だ。あれで痩せるこれで健康と視聴者を欺き続けるショッピング番組に、剰え、博打の胴元たるパチンコ屋がスポンサーとなり、恰も社会的地位を獲得したかの如き振る舞いである。
つくづくテレビに費やす時間など無駄だと思う。

テレビ局勤務の父に学校へ出してもらい、テレビに出て禄を食んでいたというのに、斯様なテレビ離れである。しかし、マルクスなど読んで理想に燃えていたのに、ある日、現実に目覚めた若者同様、健常な姿勢ではあるまいか。

先週末のNHK教育テレビの芸術劇場では、シルヴィ・ギエムさんの『ボレロ』等、モーリス・ベジャールさんのバレエを楽しんだが、前出のワールド・ベースボール・クラシックなど、積極的に時間を割く番組にチャンネルを合わせる一方、不意に昨今のドラマを目にすることもある。そして、再確認する。テレビで繰り広げられる物語より、自らの人生の方がよほど波乱に満ち、繊細な感性に彩られ、演劇的だと。

テレビが現代を映す鏡と定義されるなら、現代とは何と陳腐な時代なんだろう。

さて、そろそろ、ワールド・ベースボール・クラシックの決勝戦が始まる。
日本の勝利を祈る!

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by site-tate-tale | 2009-03-24 09:18

春の光

1年も放置してしまったのだが、パリで使用していたノート型のMacintoshを修理したので、パリ時代を含めた2004年末から2008年のデータが回復した。
3年前の今日、即ち2006年3月15日の写真ファイルを紐解くと、この日もルーヴルへ足を運んでいる。
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ルーヴルの後はコンコルド駅からメトロで帰宅しようと考えたのだろう。チュイルリー公園をコンコルド広場へ向かい、途中のカフェで腹拵えをしたようだ。
ブログを遡ると、気温は12℃、晴れている。
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ここ数日、桜島が冠雪するなど、南国鹿児島も冬に戻ったような気候だったが、三寒四温、桜も枝全体が赤みを増している。
春の訪れも近い。
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by site-tate-tale | 2009-03-15 14:06

見下ろしてごらん、夜の町を。

既に舞台から音楽が聞こえてくる。開幕前なのに、売れないミュージシャン役の千葉和臣さんのライブが始まっているからだ。

3月7日、鹿児島県文化センター(宝山ホール)に、東京ヴォードヴィルショーの巡業公演がやって来た。2008年末に埼玉県で開幕し、鹿児島が千秋楽だと言う。

『見上げてごらん夜の星を』から引用したのだろう。『見下ろしてごらん、夜の町を。』は、佐藤B作さん演じる、フォークソング世代のサラリーマンが、退職金で港町のライブハウスを買い取ろうとすることに端を発するコメディーだ。

やはり、女性がほとんどだが、鹿児島の観客が身を乗り出して舞台を見つめているのは、期待と共感の証である。
個性的でありながら、どこにでもいそうな登場人物の、それぞれに設けられた物語に、市井の人々の悲哀、家族愛、そして夢と現の葛藤が浮き彫りにされる。それでいて、随所で演奏される上手くないフォークソングが、ほのぼのとした空気を醸し出している。
軽妙で独特の世界観を持つ、東京ヴォードヴィルショーらしい楽しい作品に、会場は爆笑の渦であった。

ところで、東京へ出かけたのは先週のことである。
ホテルで新聞の興業欄を眺めると、夥しい数の演劇が告知されている。情報が集中し、そして発信される場所、それが東京であることを忘れていた。

フランスで、地方都市でも都会に負けない演劇が出来ることを知ったのに、それも忘れていた。

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by site-tate-tale | 2009-03-08 11:53


♪サイト・テイト


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竪山 博之
(たてやま ひろゆき)
演 出 家

舞台演出・演技指導・朗読講座の他、芸術やフランス文化に関する講演や執筆を生業としております。

お気軽にお問い合わせ下さい。
hiroyuki_tateyama
@me.com

尚、Site Tateは、テイトなる男を主人公とする、虚実織り交ぜた物語です。

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