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一足早き梅日和

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一昨日は南国鹿児島らしい陽光に心躍った。
昨日も、引き続き20℃を超えた。
春は人の心の神様を目覚めさせる。
だから、例え冬の気まぐれでも、かような日和に、人はやさしい。

雨上がりながら春の空気が子犬のようにまとわりつく朝、野暮用を足早に済ませ、甘く入れたお茶で喉を潤した。
明日から、また寒くなるようだが、既に梅もほころんでいる。
人の心からやさしさが消えぬと良い。
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by site-tate-tale | 2010-01-21 12:06

夢の坂道

キュロキュロキュロキュロキュロとタイヤが軋むのは、ブレーキに手をかけ坂道を下っているからである。
そのキュロキュロキュロの音階が、ワグナーの楽劇『タンホイザー』のフィナレーのメロディーと似ているので、譲っていただいたばかりの自転車にタンホイザー号と名付けた。

自転車がワグナーを口ずさむキュロキュロキュロの坂道は、2005年の渡仏まで居を構えていた東京都渋谷区富ヶ谷の、井の頭通りと山手通りを結ぶ、車が一台通り抜けるのがやっとの裏道でもあった。

坂の頂きからは新宿の高層ビル群が見渡せ、人知れぬ夜景ポイントだった。
キュロキュロキュロとタンホイザー号で下ると、そのキュロキュロキュロに垣根からゴールデンレトリバーが顔を覗かせる家と、玄関前に寝そべっていた野良猫が散らばる家があった。小雪がちらつく日もあった。桜吹雪が切ない季節もあった。頬に風が心地よい夜もあった。

ガレージに眠るタンホイザー号のタイヤに空気を入れた。
キュロキュロキュロと走った。
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by site-tate-tale | 2010-01-16 15:52

雪の鹿児島

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by site-tate-tale | 2010-01-14 12:17

2010年いぶすき菜の花マラソン応援団

鹿児島の日の出は7時を過ぎるので、午前9時のスタート時点でも、陽の昇りが遅く曇天の空は寝ぼけているかのようである。
が、ものものしい警察の交通整理と、そして何より選手の緊張が伝播し、天気とは裏腹に街は祭り独特の高揚感に包まれていく。
気温は13℃。記録を狙うランナーにはやや高く、マイペースのランナーには程よいことだろう。

まず、スタートから2キロ程の田口田(たぐちだ)という、国道と農免道路(いなかでは珍しくない)の交差点で待ち構える。5分もすればテレビ局の中継車など先導車両に続くトップの選手の姿が現れたが、あっという間に駆け抜けた。本格的なユニフォームだなと暢気な感想を持つのがやっとだ。

だが、その後は2万人のランナーが、後から後から雲霞の如く路上を埋め尽くすのだから壮観だ。
それでも、いとも簡単に知己を見つけ出してしまった。人の目というのは意外と精密だ。それぞれ写真撮影に応じてもらうなど、まだ余裕綽々、体温も上がり、皆、笑顔である。
選手全員が通過した頃には、もう1時間が経過していた。

その更に1時間後、そうめん流しで有名な唐船峡手前の菜の花畑が連なる10キロ地点に移動し、応援を再開。
一山超えた選手の多くはペースが鈍り、額に汗が光っている。
ここで、ランナー達の喉を潤すのは、ボランティアの方々が用意したおいしい緑茶である。鹿児島は上質な緑茶の産地としても名高いが、私のように走らぬ人は、その甘露な味わいを想像するしかないのが残念だ。

田口田交差点では後続だったスーパーマリオに扮した付け髭の選手が、涼しい顔をして順位を上げてきた。他にも女装や赤レンジャーなど奇抜な衣装のランナーは、存外早い人たちで、誰もが余裕の表情で過ぎ去ってゆく。バットマンのランナーも、マスクの下は笑顔だったことだろう。

菜の花をバックに写真を撮ってくれと破顔一笑なのは、関西弁のマダム3人組だ。
「ハイ、チーズ」
と、デジカメのシャッターを押すと
「きれいに撮ってくれたぁ?」
「皺取って、写してくれた〜」
と、速射砲のようである。
「はい、お美しいですよ」
と、応じる私。
「おおきに」
「ほんま、おおきに」
旅人とのやり取りも、かような催しの醍醐味であろう。

それにしても、足取り軽快なランナーの歩調をより軽くし、苦しい選手には励みになっているのは、この一帯の明媚な風光である。
女性的な稜線が穏やかな開聞岳の山麓には、もう春の匂いが立ち込めていた。

菜の花と言えば、3月のフランス・ノルマンディー地方南部の、羊が放牧される山間に、サッカー場程の菜の花畑が、まさに黄色い絨毯の如く広がっていたことを思い出す。
指宿も沿道だけではなく、もっと広範囲に菜の花が咲き乱れ、その黄色が遠く近くに映えた方が、春の光景として参加者の脳裏に深く刻まれると思う。関係者は検討してみてもいい。

さて、最後の応援はスタートから5時間経過した午後2時、指宿港近くの40キロ地点である。ゴールまで後少しだが、風が徐々に冷たくなるのを感じる。
大勢のランナーが疲労困憊の表情で戻ってくるが、朝、田口田交差点で送り出した友人達はなかなか現れない。
リタイヤした方々を連れ帰るバスが、ゴールを目指すランナーを何だか無神経に追い越して行く。
1時間後、ようやく同級生のK君の赤い上下のウェアが縦に伸びる列の中に見えてきた。

医師である彼は、長くこの大会の救護班の一員であったが、思うことがあって今年で2回目の激走だ。
「もう、走れんから」
と、歩いてはいたが、腕を元気に振りながら、満足そうな笑みがこぼれていた。

レース後に聞いたが、沿道の知人の顔は、ことのほか励みになるんだそうである。

夜になり、友人知人の結果が続々と報告されてくる。
この大会の常連なので、もはや驚かないが、一番の快速は、4時間かからずに戻ってきた地元指宿の居酒屋の女将さん、63歳である。その夜、彼女の居酒屋は通常通りの営業で、マラソン参加者を労っていた。

6歳年下の後輩も、体育教師らしくハイペースで駆け抜けたし、仕事上頻繁にお目にかかる、お忙しいはずの取引先の50代の方も、午後2時には40キロ地点でどうもどうもとご挨拶した。
その出場を隠していたのか、昨年、細君を亡くしたばかりの友人が、はにかみながら手を振って走り去ったのは、その30分後だ。
初マラソンだから無理をせずにと、自分なりの目標をクリアしたところで、勇気あるリタイアを決断した友人もいた。
とにかく、走った人は、皆、輝いていた。

そして、最後に田口田の交差点以降、一度も見かけることがなかった同級生のO君から、次のようなメールが届いた。
「沿道で振る舞われていた、バナナ、ふかし芋、ぜんざい、豚汁、全て完食して完走しました。応援、有り難うございました」

来年の出場には、まだ踏ん切りがつかないが、一つだけ知った。マイペースでいいんだと。

*菜の花マラソンは1月10日に行われ、本文は11日に誌しましたが、エキサイトブログに不具合が生じたため、12日に掲載しました。
写真は下記ブログでご覧下さい。
http://ameblo.jp/site-tate-tale/entry-10431822501.html
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by site-tate-tale | 2010-01-12 11:33

マラソン大会を控える菜の花の街

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春を待つ庭木の桜で巫山戯るのはメジロである。
遥か蒼天にトンビが舞い、見下ろす街中の菜の花は満開で、潮風に揺れながら旅人を迎え入れる。

鹿児島県薩摩半島南端の温泉町指宿では、明日、マラソン大会が開かれる。
今年29回目を迎える、その名も『いぶすき菜の花マラソン』だ。
2万人の参加者が次々と到着し、活気づくこの街で、メジロよろしく私も羽を伸ばしている。
明日も温かいはずだ。街も人も。
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by site-tate-tale | 2010-01-09 16:46

望月の正月

星空を見上げたこともあれば、夜景に見とれる街もあった。
嘗て、時差ボケで目覚めた深夜のホテルの静寂を、貴重な孤独のひと時と愛した。

テレビに飽き、地図を披くなど遊子らしい手順を了すると、仕事や国や家族といった、こぢんまりとした思量から離陸し、溟濛たる異境の空に心は放たれる。
すると、そこが非日常であることを助けに、実際の宇宙か思考の宇宙か、(夢に惑わされていた、若しくは酔っていたと解釈されても構わない)窈然たる暗い空間に浮かぶ、星屑のような己を見いだすことが常であった。

時差ボケのホテルでのように、寒さに颤えながら、庭で満月を仰いだ正月の夜。
輪郭の明瞭な月が浮かんでいたのは、実際の宇宙である。
酔いは醒めていた。
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by site-tate-tale | 2010-01-02 05:41

Tous mes meilleurs voeux pour l'année 2010 !

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by site-tate-tale | 2010-01-01 00:44


♪サイト・テイト


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竪山 博之
(たてやま ひろゆき)
演 出 家

舞台演出・演技指導・朗読講座の他、芸術やフランス文化に関する講演や執筆を生業としております。

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@me.com

尚、Site Tateは、テイトなる男を主人公とする、虚実織り交ぜた物語です。

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